溶融スラグ入りコンクリート製品

JIS認証取得、4月1日から販売 、高見澤、アスザック、ホクエツら 

 長野広域連合のごみ処理施設「ながの環境エネルギーセンター」から排出される焼却灰と飛灰を溶融処理により減容化した溶融スラグを資源として有効活用しようと、県内のコンクリート製品を製造販売する会社が取り組みを進めている。境界ブロックや側溝などのコンクリート二次製品を製造する際に使用する細骨材の一部に、これまで埋め立て処分していた焼却灰(溶融スラグ)を利用する。焼却灰を減容化、資源化することで最終処分場の残余年数の延命に貢献するとともに、循環型社会の構築につなげようというもの。 
 取り組みを進めているのは、高見澤(長野市)、アスザック(高山村)、ホクエツ信越(新潟市)3社と焼却施設を運営するEcoHitzながの(長野市)で構成される「ながの溶融スラグ利用促進協会」(佐藤倫正会長)。家庭から排出される一般廃棄物を焼却した後に残る溶融スラグを、通常使用している細骨材の20~25%の割合で置き換えて混入する。3社では、溶融スラグ入りコンクリート製品の販売開始を4月1日からと予定している。 
 溶融スラグの建設資材への有効活用をめぐっては、県外ではすでに取り組みが進んでいるが、溶融スラグを受け入れる際のJISによる規定や溶融スラグ入り製品を適正管理できる製造工場の存在、コンクリート技士などの有資格者の配備といった環境の整備が必要なるため、県内では取り組みが進んでいなかった。
 同協会では、溶融スラグ入りコンクリート製品の製造販売に向け2014年から検討を開始。19年8月に組織を立ち上げ、20年7月にはEcoHitzながのが溶融スラグの品質を担保するJIS認証(JISA5032)を取得。9月以降JIS認証の溶融スラグとして出荷を開始している。 
 家庭ごみが原料のため、焼却前の成分は一定ではない。また、万が一カドミウムや六価クロムといった有害物質が基準値を超えて含まれている可能性もあることから、協会は県溶融スラグ利用基準と合わせて品質管理基準を設け、環境安全品質を含む徹底した品質管理を行っていくとする。
 協会では、検討を開始した14年から今回のものとほぼ同じ成分の試験体を使った暴露試験を進めてきており、5年半が経過しても、標準製品と比べて差異はほとんどないとするが、実製品についても同様に暴露試験を長野市内や須坂市内で歩車道境界ブロックやU字溝のふたなどに使い、昨年12月15日から経過観察を行っている。
 佐藤会長は「L型擁壁やボックスカルバートなどに使用しても品質的には問題ない」としつつ、「まずは境界ブロックや側溝などで使い、信頼を得てから利用の幅を広げていきたい」と説明。「その普及拡大には県の後押しが欠かせず、信州リサイクル製品の認定を受けるための認証準備をすすめている」と話している。