今年の熱中症は要注意!マスク時は危険性高まる

マスク+熱中症は「史上初」

 日中の気温が30度を超える日が増えてきた。コロナ禍で感染症対策を実施してきた建設業だが、今度は熱中症の時期を迎えている。気象庁の3カ月予報によると、関東甲信越地方の6・7・8月の気温は「例年並」「例年より高い」を合わせた確率がいずれも80%。加えて、今年は新型コロナのためマスクをした状況での熱中症対応となる。これは史上初めてのことであり、例年以上の注意が必要だ。
(新建新聞 編集長 酒井真一)

「マスク時の熱中症対策 注意することは?」のインフォグラフィックスについて、A3ポスターとして使えるPDFを作成しました。新建新聞の読者の方は無料でご利用いただけます。ぜひご活用ください。

「今後、死亡者1500人超を出した平成30年の夏のような災害級ともいえる暑さが予想される」――。今年7月から新たに試験運用する「熱中症警戒アラート」を始めるにあたり、気象庁と環境省が注意喚起した際の言葉だ。同アラートは7月~10月までの間、関東甲信地方で試験的に実施するもので、熱中症の危険が高いことが予想される前日の夕方と当日の朝に警報を発令する。それだけ、今年の夏は熱中症に対して注意が必要ということだ。
 熱中症は、気温30度以上の真夏日になると発生率が上がり、35度以上の猛暑日で急増する。基本的には梅雨明けから発生が増加するものとされているが、日本各地で5月の時点から30度超えの日を度々記録しており、もはや熱中症対策が必要な時期は梅雨よりも前に訪れるようになったと考えていいだろう。

■屋外では距離取ってマスク外す
 新型コロナ対策でマスクの着用が必要な今年は、より一層の注意が必要となる。厚生労働省ではマスク着用時について「マスクを着用していない場合と比べると、心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度、体感温度が上昇するなど、身体に負担がかかることがある」としており、「高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、熱中症のリスクが高くなるおそれがある」としている。
 ここでポイントとなるのは、屋外では、人との距離を2m以上取れているのであれば「マスクを外す」べきだということ。「新しい生活様式」における熱中症予防行動として、厚労省が5月26日に発表しているもので、作業をする社員全員で広く周知しておきたい。
 一方で、屋内ではマスク着用が基本となる。日本救急医学会などによれば、エアコンを使っていても換気をする必要があるとしており、適時窓を開けるなどの作業が必要だ。その際に室温が上がる可能性があるため、エアコンでのこまめな温度調整が必要となる。
 このほか、熱中症の初期症状として「倦怠感」「頭痛」「発熱」「味覚障害」が挙げられる。これらはいずれも新型コロナの初期症状と似ているので、注意が必要だ。
 また、マスクをしているとのどの渇きを感じにくくなるため、水分補給をしないままでいて、体から水分が失われる危険もある。のどが渇いたかどうかなどの体の感覚ではなく、一定時間を決めて水分補給をするなど、体感に任せるのではなく運用面で取り決めてしまうのが有効だ。