ウェブ会議やテレワークの実施が建設業界で広がりつつあるが、本紙でもそれは同様だ。一部記者はテレワークで業務を行っており、全てではないが、社内会議はMicrosoft社の「Teams」、外部の方との取材は「ZOOM」を使うなどしてオンラインの活用を試行している。なかでも社内で率先して使用している部署に、ウェブ会議ツールの使い勝手や課題などを聞いてみた。(新建新聞編集長/酒井真一)
─どのアプリを使っているのか。
「社内の情報共有にOffice365を使っているので、社内会議はTeams。一方で外部の方とのやり取りにはZOOMを使っている」
─なぜ二つ使っているのか。
「ZOOMはテレビのニュースなどでも話題になっており、外部の方に『ウェブ会議をやりましょう』とお願いするときにわかってもらいやすい。最近では『ZOOMなら使っている』という方も増えていて、簡単で導入のハードルが低い(※1)。一方で社内ではOffice365の機能の一部であるTeamsは全員使っているので、特別に説明する必要がない」
─ZOOMには、いくつかプランがある。
「自分たちは有料版で一番安い『プロ』プランを使っている(※2)。無料プランだと複数人の会議が40分経過で一旦切れてしまうため。プロプランは40分を過ぎても切れることがない。無料プランでも2人で1対1の会議をするなら切れることはないし、複数人でも40分以内に終わる会議であれば無料プランでも十分だと思う」
─便利な点は。
「ひと昔前のウェブ会議は遅延が多かったり、画像が途切れ途切れだったが、今はそんなことはなく、ほとんど顔をあわせた会議と変わらない。会議しながら資料を画面に表示できるのも使いやすい」
「レコーディング機能で会議風景を録っておけるのも便利。参加できなかった人も、後から見て会議内容を共有できる」
─不便な点は。
「リアルのように話せるといっても、空気感というか、いつもならなんとなく伝わる意図が伝わらないということはある。情報共有はできていたのに、コミュニケーションは取れていなかった─ということは起こり得る」
「デジタル機器を使うのが苦手な人とやる場合、電話で使い方を教えながらになるなど、最初は大変だった。元が英語のアプリなので、日本語サポートが充実していないということもあり、機能説明に書いてある日本語が変だったり、突如英語だけになったりして、結局、わからなくなると社内でITに得意な人間がサポートする役割を担うことになる」
─世間ではセキュリティーが心配されている。
「心配ではあるが、早いうちに世界的に問題が起きて、それを解決しようとセキュリティー強化の施策を打ち出しているので、そこまで重くは考えていない。もちろん、外に漏れてはいけないデータなどを会議で使う会社はそうはいかないだろうが、扱う内容に応じて心配すればいいと思っている」
「逆に、重要なデータを扱うなら、社内で活用しているTeams。Office365の機能であるクラウドストレージの『OneDrive』など、セキュリティーを考えた使い方ができる」
─Teamsのメリット・デメリットは。
「Teamsでも、会議に招待される側は専用のアプリを落とすことなくブラウザで参加できる。ID登録も不要で、ZOOMと同じように特別な準備は必要ない。Office365の機能を使いながら会議できるので、Excelの表を共有しながら会議するといったことも可能だ」
「ただし、先に言ったようにZOOMなら『使ったことがある』という人が多く、どうやって使うのかも検索すればすぐ出てくる。使ったことがない人でも『最近よく聞くやつか』と導入ハードルが低い。一方でTeamsは『知らない』『難しいのではないか』と思われる可能性がある。『準備が必要ならウェブ会議は遠慮したい』と思う人もいて、ZOOMほどのわかりやすさ、使おうと思う気安さがないように感じている。外部の方とウェブ会議を行うには、気軽さも重要なポイントだ」
─あえて統一せずに使い分けている。
「自分たちは、まずは使ってみて、いろいろトライすれば良いと考えている。まだこれからZOOMやTeams以外の新しく機能の良いアプリが出てくる可能性はある。これというアプリにこだわらず、使いながら利点や課題を共有する。今はなにより、まずはウェブ会議というもの自体に慣れておくのが得策だと考えている」
【※1】ZOOMは会議に招待される側でアプリケーションをインストールする必要がなく、アカウント登録も不要。招待側からメールで送られてくるIDとパスワードを使うだけですぐ参加できる点でも導入のハードルが低い
【※2】ZOOMには利用料が掛からない「無料」プランと、月/ホスト数で利用料が掛かる「プロ」「ビジネス」「企業」の4つのプランがある。詳細はhttps://zoom.us/pricing