施工不良原因判明!東御市本海野の護岸復旧

法覆護岸工を全面的に再施工、原因に「認識の甘さ」「ブロック工の未配置」、地元からは困惑の声

不具合が発生した護岸復旧の現場

 国土交通省北陸地方整備局は12月28日、昨年10月の台風19号で被災した東御市本海野の千曲川右岸の護岸復旧工事で施工上の不具合が生じたと発表した。胴込コンクリートの充填不足や法留基礎の未施工などの不具合が判明したとして施工を担当する大林組北陸支店に原因の究明と不具合箇所の改善措置方針の提出を命じ、期限としていた1月8日までに同社より提出があったことを明らかにした。同局では「受注者から提出される原因や改善方針を踏まえ、速やかに改善措置を図っていく」としている。
 不具合は◇法覆大型ブロックの背面が胴空洞となっている胴込コンクリートの充填不足が4348カ所◇法覆大型ブロックの段差や目開き、目地の施工不良が9123カ所◇法留基礎未施工が2カ所で112m◇護岸端部の処理不備―で判明。施工箇所の広範にわたって不具合が確認されている。
 現場は東御市本海野で長野県から権限代行により同局が復旧工事を進めている箇所。「令和元年台風19号千曲川権限代行区間(東御市海野地先)緊急復旧工事(その1)」として護岸のL484mにわたって同社が工事を進めている。
 今回の不具合を受けて工期の延長だけでなく、護岸に隣接して市道白鳥神社線「海野宿橋」の復旧工事を東御市からの権限代行により長野国道事務所が工事を進めていることから、それへの影響も懸念されるところだ。

法覆大型ブロックの背面に空隙が生じている

真面目な地元の災害復旧「水の泡になってしまう」
 今回の災害復旧工事での不具合発生を受け、地元建設業界からは驚きの声とともに原因の究明を求める声が聞かれた。
 1万3000カ所を超す施工不良に「超大手の仕事で、これだけの規模の大きい施工不良は聞いたことがない」「前代未聞のこと。規模の大きい災害復旧工事でどうしてこんなことが起きたか」「監理技術者の勘違いか、工期がないから手抜きで良いやと進めたか。素人なら別だが、理由が分からない。これだけ空隙ができていれば検査で通らないはず」と、皆一様に首をひねる。
 また、ある業界関係者は「現場は洪水時に水衝部となった場所。これでは護岸としての機能を果たさない」と指摘。「多分やり直すことになるだろう。そうすると道路の開通もいつになるか」と嘆息しながら話した。
 また、ある地元建設企業の経営者は「我々は地元のために真面目に復旧工事にあたっているのに、こうした話題のおかげで水の泡になってしまう」と残念がり、「背景にある原因まで追究し、対策してほしい」と話していた。

ブロックの目開きも9000カ所超が確認された

【関連記事】
施工不良原因判明!東御市本海野の護岸復旧
https://shinken-eventandseminar.jp/information/3912

生コンや資材、地元との調整求める声~東御の千曲川護岸 不具合で説明会~
https://shinken-eventandseminar.jp/information/4041